「くっ……」
死を覚悟したまさにその時だった。
王を貫かんとするナニカは王の背中に当たる寸前で止まった。確実に止まったのだ。
時間にしてコンマ五秒。
しかし、王にしてみればこのコンマ五秒は大きかった。避けるのに十分な時間。王はなんとかそのナニカをかわしてようやく見る。
そのナニカは矢のような形をしている。
矢は王が見た瞬間、時を取り戻したかのように元々の軌道を貫いた。いや、貫くという表現は正しくないだろう。矢は形こそ矢であるものの地面に到達した瞬間に爆弾と化した。
爆弾と化したナニカは目を破壊せんとばかりに光を発する。
その一連の光景に王は自分が置かれた状況をまるで理解していなかった。
このナニカを放ったのは誰なのか? またナニカをコンマ五秒止めたのは誰なのか? その疑問は拭えない。
周りを確認するが暗闇を取り戻した公園に貞晴以外は誰もいない。
「……おい、貞治! お前、目見えるのか?!」
気がつけば貞晴が王に話しかけている。
「――というか、貞治って呼ぶな! お前だって貞晴じゃねぇか! ……って、え? 目?」
――そうだ。そういえば先ほどの矢から放たれた光、あれはものすごい輝きを放ち視界を奪った……はず。なのに俺の視界はまるで異常がない。
「――なんでだ?」
「それは貞治に宿る耐魔力のおかげじゃ!」
公園に響く貞晴ではない声。
「誰だ!」
警戒していた。先ほどまで命を狙われていたのだから。姿が見えないのが怖い。
「そう構えるでない。ワシは貞秋、ペンギンじゃ。貞晴とは幼稚園来の親友じゃ」
貞秋と名乗るペンギンは公園の暗闇からひょっこりと外灯の当たる明るいところに現れた。
「お! 貞秋! 久しぶり! なのにごめん。今、目が見えないんだ」
貞晴は目を抑えながらも親友との再開に喜んでいるようだ。
「よいぞ、よいぞ」
「……」
王はただ呆れかえっている。
胡散臭いのがまた王の周りに増えたのだなぁ〜と思いながら。
そして、ペンギンに幼稚園とかあるんだ〜……。
2009年05月05日
2009年04月30日
対峙2
時計の針も夜の八時を指し、外は暗闇に包み込まれた。その暗闇をところどころ街灯が照らし遠くから見るとその夜景がきれいだったりする。
今こうして何も考えずにただぼーっと外を眺めていた。気付けば夜空には満天の星が輝いている。本を見て星座を探したい気分だが、本を探すのが億劫なのでやめるとする。
七時くらいであっただろうか。空が一度光ったのだ。初めは雷かとも思ったが、空は星が美しく見えるほど晴れ渡っている。なにかがおかしい。そう思って一時間ずっと椅子に座り窓から外を眺めているのだが、それ以降全く変化がない。
「やっぱり錯覚だったのかなぁ〜……」
とは口では言うものの錯覚には思えなかった。確かにこの目は暗闇を照らす神々しい光を捉えたのだ。時間も時間なだけに寝ぼけていたわけでもない。
「そういえば最近心(シン)の様子がおかしかったような……」
ふと考えた。
幼なじみの異変に。
そして光った方向を思い出す。
「――心!」
気付いたら部屋を飛び出していた。足は自分でも気付かぬ内に走っている。靴も履き替えたことすら覚えていない。
「もしかして心なの?」
光った方向を思い出して家から向かう。
自転車で向かえば早かっただろうにそんなことすら今の自分には思いつかなかった。そのためにただひたすら目的地を目指し走る。心がいないのならそれでいい。ただ心が無事であるのなら――。
走っている途中のことだった。
「な、何?!」
さっきとは比にならない光が目を襲う。視界を奪う。光った先はすぐそこにある公園。すぐにでもそこを確認したいのだが、目がまだ開かずに動けない。
「し、心――」
自分の不甲斐なさに苛立ち、幼なじみの名前をつぶやいた。
今こうして何も考えずにただぼーっと外を眺めていた。気付けば夜空には満天の星が輝いている。本を見て星座を探したい気分だが、本を探すのが億劫なのでやめるとする。
七時くらいであっただろうか。空が一度光ったのだ。初めは雷かとも思ったが、空は星が美しく見えるほど晴れ渡っている。なにかがおかしい。そう思って一時間ずっと椅子に座り窓から外を眺めているのだが、それ以降全く変化がない。
「やっぱり錯覚だったのかなぁ〜……」
とは口では言うものの錯覚には思えなかった。確かにこの目は暗闇を照らす神々しい光を捉えたのだ。時間も時間なだけに寝ぼけていたわけでもない。
「そういえば最近心(シン)の様子がおかしかったような……」
ふと考えた。
幼なじみの異変に。
そして光った方向を思い出す。
「――心!」
気付いたら部屋を飛び出していた。足は自分でも気付かぬ内に走っている。靴も履き替えたことすら覚えていない。
「もしかして心なの?」
光った方向を思い出して家から向かう。
自転車で向かえば早かっただろうにそんなことすら今の自分には思いつかなかった。そのためにただひたすら目的地を目指し走る。心がいないのならそれでいい。ただ心が無事であるのなら――。
走っている途中のことだった。
「な、何?!」
さっきとは比にならない光が目を襲う。視界を奪う。光った先はすぐそこにある公園。すぐにでもそこを確認したいのだが、目がまだ開かずに動けない。
「し、心――」
自分の不甲斐なさに苛立ち、幼なじみの名前をつぶやいた。
対峙
「なんかもうペンギン界終わったんじゃねぇ?」
王は貞晴を介抱しながら呟く。本当に信じられないほどのアホだ。バカではなくアホだと思う。こんなやつに魔法を教わるのも癪だが、家のためには仕方ない。
「おい、起きろ!」
貞晴の顔をペチペチと叩く。フサフサしてて気持ちいい。……などという感情はなくただひたすらにこのアホを叩くのみ。
「……んがっ」
まるで溺れた人が水を吐き出すような擬音を出しながら貞晴は起き上がる。
気づけば特訓を始めてからもう二時間が経とうとしていた。さすがにこれ以上特訓を続けるとバカ母に怒られる。
二時間もやって成果がこれだけというのも怒りがこみ上げてくるのだが(もちろん自分ではなく貞晴に)これ以上はできないのだから諦めるしかなかった。
「ほら、貞晴! 帰るぞ」
貞晴に背を向けて先に帰ろうとした時であった。
殺気を感じた、としか表現のしようがない違和感。
後ろを振り返る前に体は勝手に動く。
気づけばしゃがむ体勢。頭より先に体が反応する。
その頭の上を通過するナニカ。そのナニカは王の頭の上を通過して公園の地面に突き刺さる。
ドーン! と一つ爆音を鳴りたてて地面に小さい楕円形の穴を形成。
そんな穴をいつまでも眺めることなく王はナニカを撃ったやつを探す。必ず近くにいる王に感じる違和感とやらはそう告げていた。
周りを見渡すものの貞晴(ペンギン)以外に人の影はない。その時、再び王の背中に電気が走る。今度はヤバい。確証もない直感だが今はそれに頼るしかない。この状況でその直感が今度のはヤバいと告げている。時間にしてコンマ2秒。その時間が経過した時に出どころのしれないナニカは王の背中を突き破るだろう。王に避けるための時間が足りなかった。
「……くっ」
王は貞晴を介抱しながら呟く。本当に信じられないほどのアホだ。バカではなくアホだと思う。こんなやつに魔法を教わるのも癪だが、家のためには仕方ない。
「おい、起きろ!」
貞晴の顔をペチペチと叩く。フサフサしてて気持ちいい。……などという感情はなくただひたすらにこのアホを叩くのみ。
「……んがっ」
まるで溺れた人が水を吐き出すような擬音を出しながら貞晴は起き上がる。
気づけば特訓を始めてからもう二時間が経とうとしていた。さすがにこれ以上特訓を続けるとバカ母に怒られる。
二時間もやって成果がこれだけというのも怒りがこみ上げてくるのだが(もちろん自分ではなく貞晴に)これ以上はできないのだから諦めるしかなかった。
「ほら、貞晴! 帰るぞ」
貞晴に背を向けて先に帰ろうとした時であった。
殺気を感じた、としか表現のしようがない違和感。
後ろを振り返る前に体は勝手に動く。
気づけばしゃがむ体勢。頭より先に体が反応する。
その頭の上を通過するナニカ。そのナニカは王の頭の上を通過して公園の地面に突き刺さる。
ドーン! と一つ爆音を鳴りたてて地面に小さい楕円形の穴を形成。
そんな穴をいつまでも眺めることなく王はナニカを撃ったやつを探す。必ず近くにいる王に感じる違和感とやらはそう告げていた。
周りを見渡すものの貞晴(ペンギン)以外に人の影はない。その時、再び王の背中に電気が走る。今度はヤバい。確証もない直感だが今はそれに頼るしかない。この状況でその直感が今度のはヤバいと告げている。時間にしてコンマ2秒。その時間が経過した時に出どころのしれないナニカは王の背中を突き破るだろう。王に避けるための時間が足りなかった。
「……くっ」

